【行政視察】ジオパーク秩父
【行政視察】ジオパーク秩父に学ぶ広域連携と地域活性化の戦略
埼玉県秩父地域を訪問し、ジオパーク秩父の合意形成プロセスおよび活用状況について行政視察を行いました。事務局を担う「秩父地域おもてなし観光公社(DMO)」による勉強会に加え、後半は国指定名勝・天然記念物である長瀞町の「長瀞岩畳」を現地視察し、大地の成り立ちが地域の暮らしや観光にどう結びついているかを学びました。
1. 10年をかけて築いた1市4町の広域合意形成
ジオパーク秩父の最大の特徴は、秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町の1市4町が一体となって運営している点です。以前は自治体間の足並みを揃えるのが難しい時期もありましたが、現在は「定住自立圏構想」を活用し、医療や観光などの多分野で協定を結ぶことで、10年以上をかけて強固な連携体制を築いています。
特筆すべきは、事務局機能を「秩父地域おもてなし観光公社(DMO)」が担っている点です。行政組織の縦割りを排し、民間目線で特定の旅館や企業と柔軟にパートナーシップを組むことで、スピーディなツアー造成やマーケティングを可能にしていました。
2. 専門知識を価値に変える「ジオ加減」の視点
勉強会では、案内する相手に合わせて情報の濃度を調整する「ジオ加減(塩加減)」という考え方が示されました。地質学的な専門用語を羅列するのではなく、地域の歴史や信仰、産業と結びつけて解説する手法です。
例えば、秩父札所の観音霊場がなぜその地形に位置しているのか、あるいは石灰岩質の水質が伝統産業である「秩父銘仙(絹織物)」の発色にどう寄与しているのか。こうした「大地の物語」を付加価値として提供することで、単なる風景を「唯一無二の観光資源」へと昇華させています。
3. 現地視察:長瀞岩畳(地球の窓)の活用
「地球の窓」とも称される長瀞岩畳では、地下深くにあるはずの結晶片岩が地表に露出する貴重な地質現象を目の当たりにしました。ここでは、地質遺産の保護と観光利用の両立が高度に図られています。
現場でのガイド養成においても、座学による認定試験だけで終わらせず、実際のツアーに同行して学ぶ「現場主義」を徹底していました。これにより、既存の森林インストラクターや歴史ガイドが、自身の専門性に「ジオ」の視点を加えることができ、多角的な案内が可能となっています。
4. 教育・次世代へのシビックプライド醸成
教育現場との連携も非常に密接です。各市町村の教育委員会と連携し、小中学校の総合学習や「新任教員研修」にジオパークを取り入れています。先生自身が地域の価値を知ることで、子供たちが「自分の住む街は世界的に見てもすごい場所なんだ」と気づく機会を創出しています。
この「ふるさと再発見」のプロセスが、将来的な地域への愛着やシビックプライド(郷土愛)の醸成、ひいては若者の地元定着に向けた重要な基盤となっている点に、強い感銘を受けました。
つくば市へのフィードバック
今回の視察を通じて、専門的な資源(自然・科学・農業)を「誰にでも伝わる物語」として再構成し、行政・民間・教育が一体となって推進する重要性を再確認しました。
つくば市においても、豊かな自然資源や科学の知見を、いかに市民の皆さんの「誇り」や「地域経済」に繋げていくか。今回の秩父での学びを、今後の政策提言や地域活動にしっかりと活かしてまいります。







